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初めてのWeb広告 完全手順|予算の決め方から配信開始までを1ページで

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所要時間: 約60〜90分(広告文を練る時間を含む)
こんな人向け
Web広告をこれから初めて出す、個人事業主・中小企業のマーケ担当者・経営者
所要時間の目安
約60〜90分(広告文を練る時間を含む)
使う道具
各ステップで紹介する無料ツール(すべて登録不要)

Web広告は「とりあえず月3万円で回してみる」と始めてしまうと、予算の根拠も、黒字になるラインも、何を直せばいいのかも分からないまま費用だけが消えていきます。この記事は、初めて広告を出す人が「いくらまで使ってよいか」「いくら売れれば黒字か」を先に決め、そのうえで広告文と飛び先を整え、計測できる状態で配信を開始するまでを、6つのステップで通しで案内します。各ステップで使う無料ツールはすべて登録不要です。

この記事の全体像

  1. 1STEP1: 売上目標から、必要な広告予算を逆算する
  2. 2STEP2: 損益分岐ROASを出し、「赤字にならないライン」を知る
  3. 3STEP3: Google・Metaなど媒体ごとに予算を配分する
  4. 4STEP4: 広告文(見出し・説明文・本文)を作る
  5. 5STEP5: 飛び先(LP)の第一声とボタン文言を整える
  6. 6STEP6: 計測リンク(UTM)を付けて配信を開始する

STEP1. 売上目標から、必要な広告予算を逆算する

最初に決めるのは「広告費」ではなく「広告で達成したい売上」です。売上目標を起点に、客単価・想定CVR(成約率)・想定CPC(クリック単価)から逆算すると、必要な広告予算が自動的に出てきます。逆算せずに予算を先に決めると、その金額で目標が届くのかどうかが永遠に分かりません。

逆算の流れは「売上目標 ÷ 客単価 = 必要な成約数」「必要な成約数 ÷ CVR = 必要なクリック数」「必要なクリック数 × CPC = 必要な予算」です。CVRやCPCの当たりが付かない場合は、まず仮の数字を入れて構いません。配信後の実数で上書きしていく前提で進めます。

入力と出力の例

入力例:月の売上目標100万円/平均客単価2万円/想定CVR2%/想定CPC80円

出力イメージ:必要な成約50件 → 必要クリック2,500 → 必要な広告予算は月およそ20万円。この20万円が出せないなら、目標か商品の見直しが先になります。

次のステップへ進む判断基準

  • 逆算で出た必要予算が、いま広告に出せる金額の範囲に収まっているか
  • 収まらない場合は「売上目標を下げる」「客単価の高い商品に絞る」のどちらかを先に決める

つまずきやすいポイント

CVRを「なんとなく5%」と高めに置くと必要予算が実際の半分以下に出てしまい、配信後に「全然足りない」となります。初回は2%前後の控えめな値から始め、実数が出たら必ず上書きしてください。

STEP2. 損益分岐ROASを出し、「赤字にならないライン」を知る

ROASは「広告費1に対して何倍の売上が返ってきたか」を表す指標です。配信を始めると毎日この数字を見ることになりますが、その前に「いくつを超えれば黒字か」という損益分岐ROASを先に出しておきます。これが分かっていないと、ROAS300%が良いのか悪いのか判断できません。

損益分岐ROASは粗利率から決まります。粗利率が低い商材ほど、必要なROASは高くなります。この数字は「このラインを下回り続けたら止める/見直す」という撤退・改善の基準にもなります。

このステップで使う無料ツール

入力と出力の例

入力例:粗利率40%の商品

出力イメージ:損益分岐ROAS=250%。広告費1に対して売上2.5を超えれば黒字、下回れば赤字。「ROAS250%」が自社にとっての合格ラインだと分かります。

次のステップへ進む判断基準

  • 損益分岐ROASが、STEP3以降で現実的に狙える水準か(極端に高い場合は商材か価格の見直し)
  • 配信後、実ROASが損益分岐を一定期間下回ったら「広告文」「飛び先」「ターゲット」のどれを直すか先に決めておく

つまずきやすいポイント

粗利率に送料・決済手数料・梱包費を入れ忘れると、損益分岐ROASを低く見積もりすぎます。「黒字のはずなのに利益が残らない」原因の多くがこれです。

STEP3. Google・Metaなど媒体ごとに予算を配分する

STEP1で出た総予算を、どの媒体にいくら振るかを決めます。検索広告(Google)は「すでに探している人」に当てる刈り取り型、SNS広告(Meta)は「まだ探していない人」に知ってもらう発見型で、役割が違います。初回は片方に寄せず、検証できる最小単位で両方に配分するのが無難です。

各媒体のクリック単価やCPMの相場感が分からないと配分の判断ができないため、業界平均の早見表で自分の業種の目安を先に確認します。早見表はあくまで目安で、実数は配信後に置き換わります。

入力と出力の例

入力例:総予算20万円/月/検索広告とSNS広告の2媒体で開始

出力イメージ:検索広告14万円(主軸・刈り取り)+SNS広告6万円(検証・認知)のように、役割の重みで配分。均等割りより「主軸を厚く」が初回の鉄則です。

次のステップへ進む判断基準

  • 1媒体あたりの配分が、最低でも2週間まわせる額になっているか(少額すぎると判断できるデータが貯まらない)
  • 検索広告とSNS広告で「どちらを主・どちらを検証」にするかを1つに決める

つまずきやすいポイント

3媒体・4媒体に薄く配ると、どこも判断材料が貯まらず全部が中途半端になります。初回は2媒体まで、慣れるまでは1媒体集中でも構いません。

STEP4. 広告文(見出し・説明文・本文)を作る

予算と黒字ラインが決まったら、ようやく広告文です。Google広告は見出しと説明文、Meta広告は本文と、媒体ごとに必要な要素と文字数が違います。媒体の仕様に合わせて、複数パターンを用意します。1パターンだけだと、後で「どの言い方が効くか」を比べられません。

AIで一括生成したうえで、自社の言葉に手で直すのが速くて品質も安定します。生成しっぱなしにせず、誇大表現や事実と違う訴求が混ざっていないかは必ず人の目で確認してください。

入力と出力の例

入力例:商品名・ベネフィット・キーワード・ターゲットを入力

出力イメージ:Google広告の見出し15本・説明文4本がまとめて出力。そのまま使わず、自社の固有名詞や強みに置き換えて3案に絞り込みます。

次のステップへ進む判断基準

  • 各媒体で、文字数オーバーのない有効なパターンが3案以上そろっているか
  • 「誰の・どの悩みに・何を提供するか」が1案ごとに言い切れているか

つまずきやすいポイント

広告文を1案だけで配信すると、反応が悪かったときに「文章のせいか・飛び先のせいか・ターゲットのせいか」を切り分けられません。最低3案を同時配信できる状態にしておきます。

STEP5. 飛び先(LP)の第一声とボタン文言を整える

広告文がよくても、クリックした先のページの第一声がずれていると離脱されます。広告で言ったことと、ページ最上部(ファーストビュー)の見出しが噛み合っているかを必ず確認します。「広告のキーワード=ページの見出し」がつながっているだけで直帰率は下がります。

あわせて、申込・問い合わせボタンの文言も整えます。「送信」「こちら」のような事務的な言葉ではなく、押した先で何が得られるかが分かる文言にします。広告→ページ→ボタンの3つで言っていることを一致させるのが、このステップのゴールです。

入力と出力の例

入力例:広告で「最短即日対応」を訴求している場合

出力イメージ:LP見出しも「最短即日対応」を主役にし、ボタンは「今すぐ即日対応を相談する」に。広告とページの言葉がそろい、来訪者の期待が裏切られません。

次のステップへ進む判断基準

  • 広告文の主訴求と、LPファーストビューの見出しが同じことを言っているか
  • ボタン文言が「行動の結果」を表しているか(例:「無料で見積もりを受け取る」)

つまずきやすいポイント

LPに手を入れられない事情があっても、最低でもファーストビューの見出しとボタン文言だけは広告に合わせます。ここがずれたまま配信すると、広告費の多くが直帰で消えます。

STEP6. 計測リンク(UTM)を付けて配信を開始する

最後に、どの広告から来た人が成約したかを後から分かるようにします。広告のリンクにUTMパラメータを付けておくと、媒体・キャンペーン・広告ごとの成果をアクセス解析で分けて見られます。これを付けずに配信すると、「どの広告が効いたか」が永遠に分かりません。

UTMを付けたリンクで配信を開始したら、STEP2で決めた損益分岐ROASを基準に、CV計算機で実数を毎週確認します。最初の数値は仮なので、CVRやCPCの実数が出たらSTEP1の逆算に戻って予算を見直す——この往復が、広告を「消費」から「投資」に変えていきます。

入力と出力の例

入力例:Google検索広告・春キャンペーン用のリンク

出力イメージ:utm_source=google/utm_medium=cpc/utm_campaign=spring のように付与。アクセス解析で「Google経由・春キャンペーンの成約数」だけを抜き出せます。

次のステップへ進む判断基準

  • すべての広告リンクにUTMが付いていて、媒体・キャンペーン単位で成果を分けて見られるか
  • 配信開始後、週1回はROASとCPAを実数で確認する運用を決めたか

つまずきやすいポイント

途中からUTMを付け始めると、それ以前のデータと混ざって比較できません。配信を始める前に、全リンクへ一括で付けてからスタートします。

実際に使ってみて — 正直なところ

このワークフローを実際に進めるうえでの所感・向き不向き・限界を、運営者の立場で正直に書いています。

このワークフローは、実際に広告を出すときに毎回この順番でたどっている手順です。STEP1 の逆算を飛ばして「とりあえず月3万円」で始めると、後から必ず「この予算で本当に目標へ届くのか」が分からなくなります。

正直なところ、STEP1 で入れる CVR や CPC の初期値は、最初は当てずっぽうにしかなりません。配信して 2 週間ほどでようやく自社の実数が見えてきます。STEP1 は「一度やって終わり」ではなく、実数が出るたびにやり直す前提で考えてください。

向いている人

  • これから初めて Web 広告を出す、または予算をゼロから決める段階の人
  • Google 広告と Meta 広告を 1〜2 媒体で小さく始めたい人

向いていない人・別の手段がよい人

  • すでに広告を運用中で、改善・最適化が目的の人(このワークフローは「立ち上げ」用です)
  • 広告に回せる予算が極端に小さい場合(判断できるだけのデータが貯まりません)

このやり方の限界・注意点

  • STEP4 で AI が出す広告文は、そのまま使うと一般的すぎます。固有名詞・数字・自社の強みに、必ず手で直す前提です。
  • STEP3 の業界平均の早見表はあくまで目安で、配信後の実数とずれることは普通にあります。
  • このワークフローが扱うのは「配信を開始するまで」です。配信後の改善(入札調整・除外キーワード・クリエイティブ差し替え)は別途必要になります。

仕上げ・次にやること

広告は「予算を決めて出す」ものではなく、「目標から予算を逆算し、黒字ラインを決め、計測できる状態で出して、実数で直し続ける」ものです。STEP1〜6を一度通しでやれば、次からは実数の更新だけで回せます。

配信後の数字が損益分岐ROASを下回り続けたら、止める前に「広告文(STEP4)」「飛び先(STEP5)」「ターゲット」のどれを直すかを順に試します。撤退の判断は、STEP2で決めた基準に沿って機械的に行うと、感情に振り回されません。

さらに詳しく知るための関連ガイド

よくある質問

Q. Web広告は最低いくらから始められますか?
A. 媒体上は1日数百円からでも配信できますが、判断材料が貯まる金額かは別問題です。STEP1の逆算で出た「必要予算」を基準にし、それが出せないなら売上目標か対象商品を先に見直すのが現実的です。少額すぎると、良し悪しを判断できるだけのクリック数が貯まりません。
Q. Google広告とMeta広告、どちらから始めるべきですか?
A. すでに自社の商品・サービスを探している人がいるなら、検索広告(Google)から始めると刈り取りやすいです。まだ知られていない新商品やSNS映えする商材なら、Meta広告の発見型が向きます。STEP3の通り、初回はどちらかを主軸に決め、もう一方を検証用に小さく回すのがおすすめです。
Q. ROASとCPAはどちらを見ればよいですか?
A. 両方見ますが、黒字かどうかの判断はROAS(損益分岐ROASとの比較)で行います。CPA(1成約あたりの広告費)は「客単価より十分に低いか」を見る補助指標です。STEP2で損益分岐ROASを出しておけば、毎日の数字を迷わず評価できます。
Q. 広告文は何パターン用意すればよいですか?
A. 1媒体あたり最低3案です。1案だけだと、反応が悪かったときに原因(広告文・飛び先・ターゲット)を切り分けられません。STEP4のツールでまとめて生成し、自社の言葉に直してから3案に絞り込みます。
Q. 配信を始めたあと、最初に見直すべきはどこですか?
A. まずSTEP1で仮置きしたCVR・CPCを実数に置き換え、必要予算を再計算します。そのうえでROASが損益分岐を下回っていれば、広告文→飛び先→ターゲットの順で改善します。STEP6のUTMを付けていれば、どの広告を直すべきかも特定できます。
Q. このワークフローはBtoB(法人向け)でも使えますか?
A. 使えます。BtoBは客単価が高くCVRが低い傾向があるため、STEP1の逆算で必要クリック数が大きく出ます。検索広告中心になりやすい点と、成約までの期間が長くROASの確定が遅い点だけ、運用時に意識してください。